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パートナーズ通信
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弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース

2018年03月13日配信号

 厳しい寒さが和らぎ春の訪れを感じる季節となりました。今年は、花粉飛散量が例年の倍近いと言われており、これまで花粉症の症状を経験したことのなかった人の中にも、はじめて花粉症を患ったという方も少なくありません。気温の寒暖もしばらく続きそうですので、体調には気を付けて過ごしたいものです。

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>>INDEX
1. マンション理事長の解任権は理事会にある~平成29年12月18日最高裁判決
2.タイにおける管理監督者該当性
3.となりの弁護士(原和良)3月号を更新しました。「『二枚舌』は許されない」

1.マンション理事長の解任権は理事会にある~平成29年12月18日最高裁判決

 
 
 我が国のマンションの管理組合では、理事の引き受け手がなかなか見つからないことが多く、くじ引きや輪番制で理事・監事の役員を決める、というマンションが少なくありません。しかし、輪番制やくじ引きで選任された理事が、その役職にふさわしい資質を持っているとは限りません。多くのマンション管理規約では、「理事長は理事の互選により選出する」旨を定めていますが、理事長の解任権については、規定していません。

 日本の法律では、自治的なルールである管理規約に定めがない場合には、マンションに関する管理について定めた法律「建物の区分所有に関する法律」(区分所有法)によって法律関係が処理されます。
 
 区分所有法25条第1項は、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって、管理者を選任し、又は、解任することができる。」と規定しています。
 
 理事の互選によってえらばれた理事長が、専制的・独断的な業務執行を行うため、管理組合運営が混乱する事例やマンション住民間の対立が激化して理事長ポストの争奪戦が繰り広げられるという事例は数多くあります。
 
 では、理事長は理事会決議で解任できるのか?それとも規約に理事会の理事長解任権について定めがない以上、集会(総会)を開催しなければ理事長を解任できないのか、その論争に終止符を打つ最高裁判決が、平成29年12月18日、第一小法廷で出されました(事件番号平成29年〔受〕第84号)。
 
 この事件の一審の福岡地裁久留米支部判決、原審の福岡高裁判決では、理事長の解任権は理事会ではなく総会権限であるとして、理事会が行った理事長解任決議は無効と判断しましたが、今回の最高裁判決は、以下のようにして理事長の解任権は理事会にあるとの判断をしました。
 

(理事の互選により理事長を選任するとの規定について)「これは、理事長を理事が就く役職の一つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選に寄り理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される…」「このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきであ」る。

 
 私は、この最高裁判決の解釈はもっともだと考えています。なお、解任された理事長は、理事にはとどまるのであって、理事の職を解任するには総会の決議が必要なのは言うまでもありません。
 
 今回の判決は、マンション管理組合の理事会のみならず、同じような規約や定款を有する社団法人やNPO法人などの理事長解任に関する解釈にも影響を及ぼすことになります。なお、取締役会設置の株式会社では、会社法第362条第2項3号に、「取締役会は、次に掲げる職務を行う。…3号 代表取締役の選定及び解職」という規定がありますので、この判決以前に立法的な解決が図られています。
 
 マンション所有者や社団法人など会社組織以外の法人に関係するみなさまは、一度自分たちの規約や定款を見直しておいた方がよいでしょう。

(文責:原和良)

2.タイにおける管理監督者該当性



 日本の会社において、「管理監督者」と呼ばれる人たちに時間外手当・休日手当が支給されないように、タイにおいても同じような制度があります。
 
 労働者保護法第65条において、「雇用者に代わって雇用、賞与の授与または解雇を行う権限及び義務を有する従業員」に関しては、時間外及び休日の割増賃金の支払いを受ける権利がないとされています。
 
 日本において、この「管理監督者」に該当するか否かというのは議論になるところで、そのためこれに関連する裁判例も多く存在します。同様に、やはりタイにおいてもその該当性が争われた裁判例がいくつか存在します。


① 最高裁判例 2409/2528
原告(従業員)は、他の従業員への賞与の支給や懲戒処分について、より上位の経営陣が最終決定を下すために、自らの意見を提案する責任を負っていた。そのため、原告は時間外賃金の支払い対象外とは言えず、被告(使用者)はその支払義務を負う。


② 最高裁判例 542/2545
原告(従業員)は、シニアエンジニアの地位にあり、他のスタッフの退職届についてコメントを与え、それを駐在員の上司に提出する前に他の従業員の職務について評価する立場にあった。原告は、他の従業員の退職ないし報酬について承認する権限は与えられていなかった。原告は、その上司が決定を下すために、自らの意見やコメントを提供することは許可されていた。そのため、原告は使用者に代わって解雇、賞与の授与について決定する権限及び義務を負っていたとはいえず、時間外賃金の支払い対象外とはいえない。


③ 最高裁判例 24/2543
時間外手当の支払い対象外となる従業員とは、雇用、報酬の付与、懲戒処分について使用者に代わって決定する権限をもつ者をさす。原告の地位はナースアシスタントであり、当該ユニットにおいて最も高い地位にある者ではなかった。そのため原告は、雇用、報酬の付与、懲戒処分について義務を有していなかった。よって、原告は時間外手当、休日手当及び休日時間外手当について支払義務を負う。


*各判例付帯の番号は、事件番号と同様のものです
 
 
 日本においては、従来の裁判実務上、「管理監督者」の該当性が認められることは非常に難しいものでした。タイにおいても、やはりそのハードルは高く、人事等の最終決定権限をもった人物でないと認められない実情にあると言えます。
 
(文責:粂井範之)

3.となりの弁護士(原和良)3月号を更新しました。

「『二枚舌』は許されない」


以下のURLよりご覧ください。
http://p-law.jp/news/915/
 

*事務所では、ホームページで、法律コラム(月一回)の他、となりの弁護士(原和良)、磯部たなの漫遊記(磯部たな)など各所属弁護士のコラム・ブログを掲載しておりますので、こちらもぜひご覧ください。


弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース 2018年03月13日配信号

○発行:弁護士法人パートナーズ法律事務所 東京都豊島区南大塚3-36-7 T&Tビル4F
○発行人:
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○お問い合わせ TEL:03-5911-3216 E-mail:info@p-law.jp


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