Copy
パートナーズ通信
ブラウザで読む方はこちらから

弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース

2015年08月21日配信号

 当事務所では、事務所の顧問先、取引先、名刺交換をしたみなさまに、月1回、事務所の近況や企業経営と市民生活に役立つ情報を提供するためメールでニュースを配信させていただきます。
 事務所ニュースの配信を希望されない方は、下記のアドレス宛に、配信解除のご連絡を頂きますようお願いいたします。

⇒配信解除

 日常生活で起こりうる法律問題等、皆様に役立つ情報の掲載に努めて参りますので、最後までお読みいただければ幸いです。

>>INDEX
1.検察審査会
2.デモと就職
3.事務所近況

1.検察審査会


(1)東電元幹部が強制起訴


東京第5検察審査会(くじで選出された11人の有権者で構成)は、7月31日、勝又元東電会長ら3名の経営陣に対して、起訴相当(罪名:業務上過失致死傷罪)という議決を行いました。これは、審査会として2度目の起訴相当の議決になり、検察審査会法41条の9,10の規定により、裁判所により指定された弁護士が検察官の職務を行う指定弁護士により、強制起訴の手続がとられることになりました。

by IAEA Imagebank審査会の議決は、「原発事故が深刻な重大事故、過酷事故に発展する危険性があることに鑑み、その設計においては当初の想定を大きく上回る災害が発生する可能性があることまで考え、災害が発生する場合まで考慮しておかなければならない。」(予見可能性があった)、「福島第1原発では何らかの津波対策を検討する必要性が生じていた。…被害を避けるために適切な津波対策を検討している間だけでも福島第1原発の運転を停止することを含めたあらゆる結果回避措置を講じるべきだった。」(結果回避可能性があった)としています。

※画像:
IAEA Imagebankより


(2)検察審査会とは?


日本では、刑事事件について裁判所へ公訴提起(起訴)するかどうかの権限は、原則として検察官が行います(起訴独占主義)。しかし、被害者らが検察官の不起訴処分に対して不服がある場合に、検察官の不起訴処分の妥当性を審査する制度として検察審査会の制度が設置されています。

従来、検察審査会の議決は、検察官に再度の捜査は義務づけても、起訴を義務づけるものではありませんでした。司法改革の中で、法改正が行われ、2009年5月21日以降は、検察審査会で、起訴相当の議決を行ったにもかかわらず検察官が再度の不起訴処分を行ったときは、検察審査会は再度の起訴相当の議決を行うことにより、強制的に起訴がなされることになりました。検察官の起訴権限の適正な行使を国民の側から検証する制度として司法の民主化という観点から導入された制度です。

過去には、明石花火大会歩道橋事故、JR福知山線脱線事故、陸山会事件、などが強制起訴になった事件として有名です。もっとも、陸山会事件については、検察審査会の委員構成の中立性が問題とされ、検察審査会制度に対して様々な批判的な議論が巻き起こりました。また、刑事弁護人を務める弁護人の立場からは、交通事故事案などについて、不起訴処分を勝ち取った被疑者が、検察審査会の議決により再度、起訴されるリスクを負う立場に立たされることに対して、制度の適正な運用基準を設けるべきではないかという議論のあるところです。

いずれにしても、未曾有の被害を出した福島原発事故については、刑事・民事双方からの厳しい検証、判断が期待されています。

2.デモと就職

 

(1)学生の安保法制反対集会の盛り上がり


自由と民主主義を求める学生緊急行動(SEALDs)の安全保障法制反対集会の盛り上がりの中で、デモ・集会に参加すると就職に不利益になるという議論が話題になっています。この問題を法律的観点、経営的観点から考えてみたいと思います。

雇用契約は、通常、①採用内定、②試用期間、③本採用、という順序を経て行きますが、順に労働者との関係、期待権が高まっていくことから、その契約関係を解消することは①から③に進むにつれて制約が大きくなります。


(2)内定取り消し


まず、内定の取り消しについてですが、内定は法律的には始期付解約権留保付きの労働契約と解釈されています。この場合、最高裁は、内定取消は、「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」(大日本印刷事件、電電公社近畿電通事件)としています。

最近話題になった、日テレアナウンサーの採用取り消し事件は、アナウンサーとして採用内定していた女性が、学生時代に銀座のクラブでホステスとしてアルバイトをしていたことを内定取消の理由とするものですが、上記の最高裁判例に照らすとその有効性は大いに疑問というべきでしょう。

なお、厚労省は、採用面接で、個人のプライバシーに関わる思想信条や支持政党を質問したり応募用紙に記載させること自体が、就職差別となると警告しています(http://www2.mhlw.go.jp/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm)。


(3)試用期間中、試用期間満了による解雇


三菱樹脂事件という有名な最高裁判例があります。1963年に東北大学法学部を卒業した高野達男さんが、三菱樹脂株式会社に、将来の管理職候補として採用されましたが、3ヶ月の試用期間満了に際し、本採用を拒否されたため雇用契約上の地位確認の裁判を起こした事件です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51931

高野さんは、採用面接で学生運動に参加していたかどうかという質問をされこれを否定しましたが、採用後の会社側の調査で高野さんが大学生協の運動に関与し安保闘争の集会・デモに参加していたという事実が発覚したため、会社は、詐欺により採用されるに至ったものとして採用を拒否しました。

最高裁判所は、企業には採用の自由があるのであり、特定の思想、信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない、と判断しました。この最高裁判決は、内外の強い批判を浴びましたが、結局会社は高野さんと和解し、高野さんは会社幹部としてりっぱに仕事をなされました。

試用期間であっても、解約権留保付きの労働契約が成立しているのであり、「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる」かどうかが、厳しく問われます。三菱樹脂最高裁判決は、40年以上前の1973年の判決ですが、時代の趨勢からして今もこの判決が妥当するとは到底考えられません。
 

(4)ダイバーシティ(多様性)を受容する企業


これを、経営という視点で見た場合はどうでしょうか。高度経済成長時代は、物を作れば売れる時代でした。このような時代において、求められる従業員とは、効率的で均質的で従順な「羊」のような人物が、会社の利益拡大に最も適切と考えられていました。不合理があっても、がまんして働いていれば終身雇用・年功序列賃金のもとで一生経済的には安泰という時代が戦後の一時期(60年代~80年代)続きました。

しかし、世界は新しい時代に入っています。グローバル化、多様化の中で、「羊」ばかりの企業、イエスマンばかりの管理職では、ますます世界に日本の企業は取り残されるばかりです。イエスマン経営の弊害の最たるものが、東芝の粉飾決算問題ではないでしょうか。

これからの企業経営には間違いなく、イノベーションが求められています。人種・言語を超えた取引と雇用、女性と障害者にやさしい企業経営、LGBTと言われる性的マイノリティへの配慮、が企業経営には求められています。SEALDsの集会を見ていると、運動を成功させるための、マーケィング、デザイン、プロモーション、洗練された言語、コミュニケーション能力、など、かれらこそが、停滞した日本経済のイノベーションに必要とされる能力を持った人材だと私は感じます。

3.事務所近況


(1)マイナンバー


施行が来年1月と迫ったマイナンバー制度について、当事務所の片岡勇弁護士が、法律コラムを掲載しました(http://p-law.jp/news/20150701-1341)。


(2)弁護士田畑智砂による8月の法律コラムが更新されました


タイの新投資奨励策について~「中所得国の罠」脱出に向けて~
http://p-law.jp/news/20150801-1357


(3)所沢市保育園


事務所で、取り組んでいる所沢市育休退園訴訟に取り組んでいます。
http://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_3363/

所沢市は、7月16日、保育継続の申請をしていた保護者のうち、原告・申立人となっていた2世帯については申請を認め、その他原告・申立人とならなかった保護者については継続を不可とする処分を通知しました。司法の判断を回避したと評価されても仕方のない不平等な処分に更に怒りは広がっています。

他方、さいたま地方裁判所は、保育実施解除仮の差止め事件について、7月23日、訴えを却下する決定を行いました。他方で、これらの所沢市の処分、裁判所の決定に対して、当事務所では、それぞれ声明を発表しました。
http://p-law.jp/news/20150803-1348

たたかいは、育休退園制度の撤回までまだまだ続きます。

所沢市育休退園差止め訴訟 第1回口頭弁論期日傍聴のお願い

2015年9月16日(木)午後3時~
場所 さいたま地方裁判所 105号法廷


弁護団・原告の意見陳述を予定しています。

裁判終了後 司法記者クラブでの記者会見を予定


(3)9月3日 タイ・アセアンセミナー


当事務所主催の第3回目のタイ・アセアンセミナーを開催します。
http://p-law.jp/news/20150812-1369


(4)DVD「顧問契約を増やす秘訣とは? 弁護士報酬の設定・決定プロセス」発売のお知らせ


弁護士及び士業関係者向けの講演録ですが、当事務所の原和良弁護士が、株式会社レガシィ社より、上記のCD・DVDをリリースしました。

内容
 ①弁護士報酬とは何か
 ②報酬設定におけるコミュニケーション
 ③報酬決定における他の考慮要素
 ④成功報酬請求のプロセス
 ⑤事件終了後の成功報酬の請求
 ⑥企業との顧問契約における留意点
 http://www.legacy-taxport.fpstation.co.jp/products/detail.php?product_id=2035&cat=822

*事務所では、ホームページで、法律コラム(月一回)の他、となりの弁護士(原和良)、弁護士田畑智砂のタイ駐在日記(田畑智砂)、磯部たなの漫遊記(磯部たな)、とある弁護士の独り言(菊間龍一)など各所属弁護士のコラム・ブログを掲載しておりますので、こちらもぜひご覧ください。


弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース 2015年08月21日配信号

○発行:弁護士法人パートナーズ法律事務所 東京都豊島区南大塚3-36-7 T&Tビル4F
○発行人:
弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース運営事務局
○お問い合わせ TEL:03-5911-3216 E-mail:info@p-law.jp


配信登録解除   登録情報更新

Email Marketing Powered by Mailchimp