Copy
夢見るセルフブランディング

今日はかなり久しぶりに、

「発信」をテーマにしたコラムを
書いていきたいと思います。


正直なところ、
ここ数年の個人起業家の動きは
あまり追えていないので

「発信」がどの程度の役割を
いまも担っているのかはわかりません。


SNS起業と揶揄された、
かつてのような発信の仕方はもう
廃れてきているとは思いますが、

それでも「集客」という
キーワードにおいて「発信」の
貢献が占める割合はまだまだま多い……

とは感じています。


そこで今日は、

「なぜ、個人起業家市場では発信がここまで重視されるのか?」

というプチ歴史的な話から、
これからの、もうちょっと包括的な

新定義される「個人起業家」の発信
について考えていきたいと思います。




私が会社員の枠組みから
外れ始めたのが、東日本大震災の
あった2011年の頃でした。

中堅のインテリアメーカーを退職し、
小さな英会話スクールへ転職。

講師兼デジタルマーケティングを
担当するようになり、触れる情報の
種類が大きく変わりました。


当時の個人ビジネス市場は、
いわゆる士業の方々(専門家たち)と

当時のITベンチャー周辺
(サイバーエージェントやライブドア)

で新たなスタイルを生み出し、
提案する女性たちが現れた印象を
私はもっていました。

堀内瑠美さんの「ウーマン朝食会」は
もうこの頃にはひとつのコミュニティ
として成立していたと記憶しています。
https://www.asagata-bijin.com/company/




当時はSNSもほとんどなく、
(Facebookが日本に上陸した頃)

発信のメインは「アメブロ」でした。

芸能人を中心に展開するアメブロは、
セルフブランディングを主軸に集客を
おこなう「個人」の事業者と相性が
よかったのだと思います。


時を同じくして、
現在の「大人の女子校」が登場。
(当時は松原靖樹さん主体の一団体)
https://otonanojoshiko.com/


それまでは、
トレンダーズ株式会社を創業した
(のちに株式会社キッズラインを設立)

経沢香保子さんたちが
「女性起業家」として活躍し、

年商1億円ほどの小さなビジネス
(という表現で)推奨されていました。


それが「大人の女子校」の登場で、
起業女子という言葉が生まれた
(ような気がしていて)

まずは月に10万円を稼げるわたしに
なるという「起業女子」が出現しました。


さらに2015年まで時が進むと、

起業塾モデルを武器とする
「キラキラ起業女子」のワードが登場。

Facebookに「自撮り」があふれ、
発信こそがすべて! の風潮がこの
小さな小さなマーケットで生まれました。

この頃のキーワードは
「月商100万円」「年商1000万円」です。




ここで一回ねじれたんですよね。

「稼ぐ」というワードが、
個人起業家市場に流れ込んできて、

妙なミックスがおこなわれ、
「SNS起業家」のワードが誕生します。




もともと個人起業家市場の
「理想的な発信」は、


① 好きなこと(たとえば宇宙の法則とか)を発信

② 読者のなかにファン層が出現

③ ファンから「会いたい」の声

④ 朝食会、ランチ会、セミナーの実施

⑤ 強いニーズに対してサービス提供


だったと、
個人的には捉えています。

それがいつしか、


① 「自撮り」で目立つ

② 「不安」を煽る/「憧れ」を抱かせるSNS投稿

③ 「稼ぎたい」人たちが集まる

④  「起業塾」の販売とクレームの多発

⑤ 「SNS起業家」の(ほぼ)消滅


となりました。




これらの強烈な「転換期」は、
2017年頃に、急激に加速しました。

個人起業家市場は、
SNS起業が旋風を巻き起こした
挙句に消滅。

同じころ、アフィリエイトを中心に
稼ぐ「ブロガー」たちもSEOの進化に
ともなって(ほぼ)消滅。

ITベンチャーは胡散臭いと
就職先としてありえない世界から

社会課題を解決する
「スタートアップ」として進化し、
現在の潮流の先端を走っています。




「発信」というテーマに戻ると、

もともとは好きなことを発信して
それに共感する人たちが集まるという

「自然なエコシステム」のなかで
生まれた個人起業家市場が、

『稼ぐ』という個人の欲求に
フォーカスした破壊的な旋風により
木っ端みじんに壊された印象です。


一方で、胡散臭いものとされていた
ITベンチャーは、

ITを「テクノロジー」に、
ベンチャーを「スタートアップ」に、

テクノロジーを活用した
次世代スタートアップが社会課題を
解決するという文脈で、

強烈な「発信力」をともなって
成長しているように感じるのです。




ここから少し、
話題をより深いほうへと進めます。

 
エコシステムとしての発信へ

私も最近知ったのですが、

人の購買プロセスを解明して、
科学的(再現可能)な方法で売上を
伸ばしていく考え方は

行動意思決定論
として学術的にまとめられていて、


処分までを含む消費サイクル、
消費者のアイデンティティや文化の
創造者としての消費を

消費者文化論
としてアカデミックに整理されて
いるのだそうです。


前述までの内容を踏まえると、

個人起業家がたどった道は
「行動意思決定論」に偏った
取り組みであり、

スタートアップの隆盛は
「消費者文化論」へのシフト
だと考えることもできそうです。




もちろんビジネスである以上、

「行動意思決定論」としての考え…
つまりマーケティング的な発想は
不可欠なものとなります。

しかし一方で、
経済的な動機のみを発端とする
ビジネスの在り方は崩壊を生み、

社会的責任を果たせない企業は
たちまちに評価を落としました。


つまり、
「消費者文化論」にもとづく、

ビジネスの余白を「意味」で
埋めるための発信が必要になった


ということだと思うんです。




「消費者文化論」は人文学的な
アプローチとされ、

哲学や文学、地理、歴史などを
ベースにものごとを発想します。

これまでの、アカデミックで、
「頭でっかちで行動しない人たち」

の思想こそが、
いままさに求められていると
言っても過言ではありません。


私自身はどうしても
バランスを重視する考え方なので

「行動意思決定論」と
「消費者文化論」の両方を
取り入れてしまう傾向があり、


発信もマーケティング的、
ビジネス的になったりもすれば、

急に文化的、本質的、哲学的な
ことをメルマガに書いたりします(笑)


でも本当はそれよりも、

「行動意思決定論」のだれかと、
「消費者文化論」の私、

というチームで発信するほうが
いろんなことがスムーズな気がします。




ここでもう一度、
話を2011年頃の牧歌的な世界、

「好きなことを発信して」
「同じ価値観の人たちが集まる」

といったエコシステムで
個人起業家市場が成立していた頃に
話を戻したいと思います。


おそらくですが、

いまの時流で変更する箇所が
あるとすれば、

「好きなことを発信して」

の部分だと思います。


ここがねじれているかぎり、
個人起業家市場はこれより先に
進めないようにも思います。

(進まなくてもいいかもしれませんが)


もし、

個人起業家市場を、
かつての牧歌的な雰囲気の
世界観へとアップデートするならば

(戻ることはできない。不可逆として)


大衆化された「発信」ではなく、
民主的な「発信」に変える、

つまり、

だれかの理想やビジョンを後追いする
生き方/働き方を発信するのではなく、

みんなで心地よい社会をつくる
ための生き方/働き方を発信する。

それも、


だれかが先導していくような
「コミュニティ」をつくるのではなく、

だれもが創造的に心地よさを
生み出していく「エコシステム」をつくる。


そのための、あり方、発信の仕方、
になっていくのではないかと思います。

(もし進化するのであれば)




最近では
「スタートアップ・エコシステム」
ということばをよく聞きます(私が)。

ざっくり説明すると、

スタートアップしたい人たちが
学べる場所があり、投資を受けられる
場所があり、それを後押しする社会の
流れがあるような、

そんな全体的な仕組みです。


サステナブルの文脈であれば、
職人の手仕事などが再評価され、
ローカルを中心とする考え方もまた
エコシステムかと思います。


これはなんとなくの私のイメージ
なのでご容赦いただきたいのですが、

たとえば気候に合わせた、
土地に合わせた農作物が栽培され、

それらの食材をつかった独自の
ローカルの調理法があり、

住まいのかたちや働き方のスタイル、
価値観や文化、衣食住のそれらが独自の
ものをはぐくみ、

それらに共感する村人たちが世界各国
から集まり、人種や性別を問わない文化
がそこで生まれ、

その文化を好む人たちが集まり、
関係人口も増え、ビジネスも生まれ、
政治と経済と文化が結びつく。

こういった発想もまた、
エコシステムと言えると思うんです。




何が言いたのかというと、

2010年頃から少しずつ
「個人の時代」といわれた発信が
しばらく続き、

2017年頃には個人から
「コミュニティ」が主軸の発信に
変容が起こり、

2020年以降はデジタルやオンライン
の土台がととのったことで、

より包摂的な社会の動き方、
「エコシステム」をつくりあげる
一員としての発信


に、変わってきたような気がするのです。




これを少しスピリチュアル的に
表現するのであれば、

個人を取り巻いていた「枠」が
溶解し、チームやコミュニティと
いった部分まで広がり、

その「枠」はさらに溶解し、
溶けあい、次なる上位概念へと昇華
していくようなイメージです。


物理的な「村」から、
価値観でつながる「村」に進化し、

その村さえも変容を起こし、
異なる価値観同士が結びつき新たな
価値創造を成される「町」となり、

みたいな感じですかね。
(抽象的になりすぎましたが)


じゃあそれを受けて、

私たち個々人の発信には何が今後
求められるというのか?




キーワードは、

やっぱり「協業」に現在のところ
落ち着くような気がします。

描くエコシステムがあり、

そのためには「誰のビジネス」と
協業することが望ましいのか?


いまふと思い出しましたが、

「クロス・コミュニティ」
「コミュニティ・ソーシング」


という考え方があります。

それに近いかもしれません。


私はどうしても
「コミュニティ」は作れない性質なので
「事業」という見方になりますが、

もはや世の中的には、

個人も会社もコミュニティも、
なんの境界も実質ありませんよね。

本業の会社で得たナレッジを
副業でジョインしている新規事業で貢献し、

同様に個人的に所属するコミュニティで
得た学びや経験もそれぞれに還元される。

そういった前提に立ったうえで、


自分のための活動ではなく、
社会の一員としてどんなエコシステム
をつくる自分であり、活動なのか?


という広い視野での発信が
これからは大切になる気します。






かなり長くなったので
このあたりでまとめに入りますね。


ぶっちゃけですが、

このメルマガを読んでくださっている
読者の大半は、

「発信」=「集客のため」

と紐づけていると思っています。
(ビジネスなんだからそりゃ当然)


じゃあここまで展開した議論を、
どのように「発信」「集客」に落とし込むか?


今時点で私が言えるのは、


「文化を生み出すビジネス」と
「美意識のある経営」


を中心に考えて、発信することだと思います。


表現を変えれば、

文化を盗用したり個人から搾取
するようなビジネスではなく、

人を経済メカニズムの歯車とせず、
尊厳に配慮した社会の実現を、

売上と利益を出しながら、
両立させるための「思想」をもって発信し、


そこに共感する人々と
ともにエコシステムを作ることを目的に、

消費者の「アイデンティティ形成」や
消費者の「創造性の後押し」

をするビジネスであることを伝え、
自然なサイクルのなかでビジネスが
成立するように作り上げること……

かな? と思うんです。


ゴールありきの「行動」ではなく、
行動という「プロセス」に目的がある
ようなビジネスであることを発信する、

……とでも言いましょうか。


だから多くの場合、
発信をする以前に、

より高い視点から
自分のビジネスを捉え直し、

余白を見出し、意味を与え、
そのプロセスを公開する発信で
共感を生み出すことになると思います。


「不安ですよね?」
「お金ほしいですよね?」

「月商100万円に興味ないですか?」
「3年で年商1000万円稼げる私になりたくないですか?」

「あなたの健康、美容、それでいいの?」
「食べるもの、ライフスタイル、それでいいの?」
「投資を始めなければ老後が不安ですよ?」


という発信ではなく、


「この土地の、この文化の営みをお借りし、ちゃんとオリジナルの皆さんに還元するようなかたちで、この商品やサービスを手にした人にとってはアイデンティティのひとつとなり、自己表現の助けになり、独自の創造性を育み、次なる創造に向かえるような、そういったビジネスなんです」

という土台を持つということです。




一部のスタートアップは、

この一言で説明しきれない
なんともいえない曖昧な雰囲気の、
だけど消費者文化論的にとても大切な

余白への意味づけを、
長尺のコンテンツで包括します。

オウンドメディア、というかたちで。

もしくは長尺の動画(映画)というかたちで。





よく個人起業家市場だと、

「お客様のベネフィットを一言で
表現できないとダメですよ」

「一言で、どんなサービスなの?」

ってコンサルから言われたり
すると思うんですけど、

スタートアップやBtoBの世界のほうが
よっぽどわけがわからないです(笑)


少なくとも、
ホームページを見ただけじゃわからない。

5分のピッチを聞いて
ようやく理解ができる感じ。

でも本質は見えてこないし、
そのビジネスを応援したい理由も
なかなか見当たらない。

だけど、
オウンドメディアを読み込んだら
そのスタートアップが目指す世界観が
少しずつ見えてきた。

そういうことはけっこうあります。


個人的に好きなのは
プランティオさんのメディアです。

◆食と農のライフスタイルメディア『PLANTIO~Social grow your own』
http://media.plantio.com/


そして、

「消費者文化論」をていねいに紐解き、

文化とビジネスをみごとに
マリアージュさせている、

今日ここまでに伝えた「発信」の
あたらしいかたちに取り組む方々を、

ソレナメディアでは取材しています。
https://media.solena.jp/


興味のある方はぜひ
参考にしてみてくださいね。


ではまた、お会いしましょう!


 
note を読む
Twitter
Facebook
Website
Copyright © Solena Co., Ltd. All rights reserved.